COMMENT モニターの声
- SIN LINE モニターレポート
- 今回は 井出 和浩 様 よりSIN LINEのモニターレポートをいただきましたので、紹介させていただきます。井出 和浩 様のことは、この分野ではご存じの方も多いと思います。
井出 和浩 様 、本当にありがとうございます。
< 以下いただいたレポートです。>
AET SIN evoモニターレポート
井出 和浩
今回AET小原氏より新しく発売となったSIN evoラインケーブルの試聴機会をいただいたのでレポートしたいと思う。
試聴したのは、下記のシステムである。
CDトランスポート:アンサンブル社 ダイクローノ・DRIVE
DAコンバーター:アンサンブル社 ダイクローノ・DAC
プリアンプ:チェロ社 アンコール1MΩ
パワーアンプ:アンサンブル社 コルフェオ
電源アイソレーター:JOB SWEETER
比較には、いままで愛用していた同社のSCR(オリジナル)を使用し、DAコンバーター-プリアンプ間に接続した。
まず、箱から出して両手でプラグを持ってみると、SCRよりもしなやかな感じがした。この点を小原氏に話すと、プロの現場で長く引き回した際の断線などの事故を未然に防ぐため、内部構造・材料とも配慮した設計を行っているとのことだった。これは狭いラックの裏に苦労して引き回している我々アマチュアユーザーにとってもメリットの大きいことだと思う。硬くて太いケーブルを無理に曲げて引き回すと、接続機器のコネクター部分にストレスがかかり、音的に歪み感が増えるなど問題があるものである。
次にコネクターを見ると、これも完全新規設計で、じつに丁寧な造りのプラグである。これもセンターピンをOCCの無垢で鍛造により造ったとのこと。従来の中空のピンと比較試聴した結果、音質的に有利と判断し、採用したものらしい。確かに注意書きにあるように機器に挿入する際の感触は硬いがスムーズで、いかにも高精度な国内加工にこだわる同社らしい信頼感にあふれるものだった。
多くのハイエンドケーブルが採用するコレクトチャック式でないのもまた、同社の良心的な設計の現れといえるだろう。コレクトチャック式はプラグの締めつけ強さによる音の変化が大きく、音質的にベストな状態をユーザーの力加減に委ねるという点が不満なのではないだろうか?そういった細かいこだわりにこそ、メーカーとしての、そしてエンジニアとしてのこだわりが感じられてうれしく思った。
それでは音を出してみよう。まず、一聴して中低域の豊かさに違いが感じられる。どちらかというと同社のケーブルは、まるでアスリートがごとく筋肉質で、フラットなモニター調の音質傾向が特徴だったと思うが、SIN evoに換えた途端、どっしりとしたピラミッドバランスの音調で鳴りはじめたら驚いた。だからといって、同社の特徴である立ち上がり・立ち下がりの早さ、SN感の良さは不変だから、音の響きが重苦しくなることは全くない。
一聴、米国系ケーブルと似たような音調ではあるが、高域の質感がきめ細かく、なめらかに整っており、低域から高域へ至る諧調性に統一感があるところが大いに違うと思う。
さらに聴き進む間にも注意深く耳をそばだてて、この音の変化を分析してみようと思うのだが、聴けば聴くほど、それが無意味に思えるくらい熟成された大人の音に変貌を遂げていることを認めないわけにはいかない。こうした音質変化の兆候はSIN ACケーブル辺りから感じていたのだが、ここに来てはっきりと世代交代を、そして技術的なブレイクスルーを実感した。
もちろんオーディオ的な好奇心に導かれるまま分析的に聴き込めば、全域で情報量が飛躍的に増え、同時にダイナミックレンジも広くなっているのがわかる。それは大編成のオーケストラや合唱で顕著だ。また、ケーブルをグレードアップすると静寂感が増したように感じる場合があるが、SIN evoは全く逆で、特に米国チェスキーレコーズによるアコースティックもののライブ録音では、演奏と演奏の合間、演奏者と演奏者の間の空間にも、様々な音があり、うごめいているのがありありとわかる。ここまで空調ノイズ含め、様々な音が容易に聞こえてくるというのは初めての体験であった。それほどにSN感が向上しているのだろう。
音場の立体的な拡がりについてはSCRと同等といったところ。ただし、これもSCRを選択する際に、数多くの米国系ハイエンドケーブルと比較した結果であるのだから、そのすぐれた特質はそのまま引き継がれていますよ、と報告した方が正確だろう。ただし、音像の佇まいについては、まるで違うということは一聴してわかる。音像の陰影感が明瞭に感じられ、それにより彫刻的なまでの立体的な表現を得ており、実体感がまるで違うのだ。特に女性ヴォーカルなどは、魅力倍増といった趣であった。
さて、試聴を終えた今の率直な感想を言えば、「皆さん、待った甲斐はありましたよ。」という一言につきる。ここ数年、同社のラインUPからインターコネクトケーブルが欠落しており、寂しく思っていたAETファンも多いと思う。かくいう僕もその中の一人だった。しかし今度は入門用のHCRからSINまで、4機種のフルラインUPで復活といううれしいおまけ付きである。試聴可能な販売店もあると言うことだから、すこしでも興味があれば、まずは試聴をおすすめしたい。そしてその時にこのレポートが、みなさんの購入判断の一助となれば熱心なユーザーである僕もとてもうれしく思う。
最後に、今回試聴のチャンスをいただいた小原氏に感謝の意を表してレポートを終わりとしたい。
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