STORY 開発秘話

オーディオケーブルの開発秘話(3)
アメリカの大手メーカーが脅威に感じる高級オーディオケーブルの作り方

◆ 「太いケーブルは音が良い」と言う信仰

 当時ケーブルは太い方が「良い音がでる」と言われていました。理由は「太い方がたくさんの電気が流せる。したがって情報量を増やせるから。」だと考えていました。

 それは部分的には正解ですが、結果としては間違っています。

 実際にロスなく電気が流れるのはケーブルの表面部分です。したがって表面積が取れる「太いケーブル」の方が「たくさんの電気が流れ、情報量を増やせる」と言うのは正解です。

 しかし、ここに思わぬ問題が出てきます。ケーブルに太さに比例して「磁界」が発生し、これが「抵抗」になっているのです。

ケーブルを太くすると表面積が増えたくさんの情報を流せますが、その分「抵抗」が起こり伝導率が落ちてくるのです。

 最初に感じた「それぞれの製品は、特性は違うが、性能に大差が無い。」と言う点は、この部分を改良する為の設定の差で、本質的な問題が解決された訳ではなったのです。


◆ 「エッチワイズ構造」にチャレンジ。が、、、

 単に太くするだけでは問題は解決しない事がわかりました。そこで当時最新技術だった「エッチワイズ構造」を検討してみました。「エッチワイズ構造」とは開いたリボンのような、細長い構造です。

 ケーブルを細長くすることで、表面積を増やして伝導する情報量を増やしながら、太さからくる「磁界」を押さえ「抵抗」を弱める作戦でした。

結果としては「磁界」は弱まりましたが、「音」はまったくダメでした。

 ケーブル自体の体積が増えた為、静電容量が増え、電気が流れにくくなったのです。

 1つの問題が解決されれば、次の問題が立ちふさがります。aetのチャレンジは、「超伝導の実用化を待たなければ解決不可能な事だ。」と言われていました。

 しかし、ここに来てさらに事態が動いたのです。


◆ 決めては「小径円筒構造」だった!

 ある時、「円筒構造」と言うのにチャレンジしました。「円筒構造」と言うのは、マカロニの様な中空の構造です。これは大成功でした。

 これだと「表面積」は裏表に取れますので倍に増やせます。さらに「体積」も取らず、「磁界を発生させる太さ」からも開放されることができます。

 この「小径円筒構造」と、それまでの実験から得た経験値。さらに最高の品質の特殊素材を使い、力が強く(電気量が多く)スピード感のあるケーブルが、やっとの思いで完成したのです。

 (「小径円筒構造」以降の話は社外秘なのであまり詳しくは書けません。ごめんなさい。)

 この「小径円筒構造」を応用した精巧な技術は、日本国内でないと技術自体の安定供給は不可能でした。言ってみれば「日本の最高の技術」によって成り立っている製品なのです。


◆ アメリカのメーカーに大きく差をつけたかった

 こんなことを書くと多くの方に迷惑をかけ、お叱りをいただくかもしれませんが、正直に書きます。実は、「小径円筒構造」技術を応用したオーディオケーブルは日本国内では「誰にも負けない」と言う自信はありました。

 この当時、国内の多くのオーディオケーブルメーカーは、中国・台湾を初めとする東南アジアに安く製造加工を委託していました。(その為、粗利の取れる美味しいビジネスでした。)

 そこに大手企業が採用する特殊素材と、新幹線にも採用されている日本の技術を使った最高級のオーディオケーブルを出したのですから、違いははっきりしていたのです。

 これ以前の部分での細かな改良は、各社でもなされていますが、ここまで根源的に問題の解決を志向したケーブルは他に類が無いと自負しています。そして、そこまでこだわった訳は、

 「日本の技術でアメリカのメーカーに大きく差をつけたかった」からです。

 aetでは「より良い製品を出せばアメリカの市場でも受け入れられる」と考えていました。しかしその後、それは大きな間違いだったことに気づかされたのです。

 なんとアメリカのメーカーが手を回し、素材の供給を止めてきたのです。

 アメリカの企業が、日本の町工場のような弱小メーカーに脅威を抱き、つぶしに来たと言うことです。そのための素材の供給を止めるという強引な手段まで使ってきました。

 素材が無ければ製品は作れません。aetの社長小原は、この時本当に困っていました。

 次回「ついにaet倒産? 日本の技術はアメリカの圧力に屈するのか?」をお楽しみに)
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