STORY 開発秘話
- オーディオケーブルの開発秘話(10)
- HHシリーズ3.5に秘められた新技術とは?
◆ HHシリーズ3が、業界の流れを変え始めた
HHシリーズ3を出した小原は、その達成感から「精神的な満足感」を味わっていました。思った通りの製品が出来た時の技術者は、非常にハッピーな時間を味わえるのです。
HHシリーズ3は、美しいサウンドとスピードやパワーの両立を実現して、今までにない評価を得る事ができました。雑誌も多くの評論家からも高い評価をいただき、小原自身も自らの達成感から「とてもうれしかった。」と当時を振り返ります。
それまでのプロの現場では、「パワー重視」か「繊細さ重視」かで、その都度ケーブル等を差し替えセッティングを変えていたのですが、HHシリーズ3の出現でその煩わしさから解放される事が出来たのです。
しかし、その一方でHHシリーズ3の出現が、思いもよらぬ「陰」をもたらす事になったのです。
◆ HHシリーズ3の出現がもたらした「陰」
それまでのオーディオケーブル業界は、「それぞれの製品の差」は「好みの差」でしかありませんでした。そして、「価格の差」は「デコレーションの差」とも言える状態でした。(極端な言い方かもしれませんが。)
端的に言うと「A社、B社、C社のどのケーブルを選ぶか?」は好みの差でしかありません。そして、その中で「高い製品」にするか「安い製品」にするかは、「デコレーション(飾りや見かけ)からくる満足感」で決めざを得なかったのです。
その為、オーディオショップにはすごい種類のケーブルが並び、お店としては「パワー重視ならこれですね。」「繊細さ重視ならあれですね。」と言う薦め方で販売していました。
しかし、HHシリーズ3の出現により、「グレード別」に商品を薦める販売方法が主流になってきました。そして、同時に「淘汰」も進みました。「価格」と「クオリティ」が釣り合わない製品が市場から排除され始めたのです。
それまで何十種類もおいてあったオーディオケーブルが十種類程度に絞りこまれ、バラエティから、クオリティやパフォーマンスで選ぶ時代に変わってきたのです。
その結果、ケーブルの種類(アイテム数)で儲けていたショップは、元気を失っていきました。また、多くのガレージメーカーが消えていったのです。
この流れはHHシリーズ2の頃にすでに始まっていました。ですのでaetがこの「市場の動き」を作った訳ではなく、ニーズの変化だと考えていま す。が、売上が激減した他社からは、「HHシリーズ3がもたらした災難」だと見えたかもしれません。またしても業界の反発が強まったのは、しかたのない事 実でした。
◆ aetが抱えていた販売上の問題点
この頃、aetはある「販売上の問題点」を抱えていました。
なかなか「全国の有名店に置いてもらえない」と言う問題でした。販売拡張を行うには全国の有名店にaetの製品を置いていただかないと、最終消費者の手にはなかなか届きません。雑誌等で紹介されても、実際に購入できる店舗が限られていたのです。
「どうして置いてくれないのだろう?」と調べてみました。
「偶然と幸運でここまで来たけど、本当に良い製品を作れる会社なのか?」「aetと取引をしても、本当に大丈夫なのか?」という「信頼」に対する不安が見えてきました。
「素人が、たまたま、偶然と幸運で音の良いケーブルを作ってしまった。」
「しかし、それにいい気になった遊び呆けているようなので、次にちゃんとした製品を作れるかどうかは疑問だし、クオリティを維持できるかどうかも 疑わしい。」と言う評価だったようです。(もっとも、その多くは、同業者の風評によるネガティブキャンペーンが大きな原因だったのですが。)
◆ HHシリーズは「偶然と幸運」の産物なのか?
「技術力」で売っていたつもりが、世間では「運」や「偶然」だと言われていたのです。
たかだか数万円のオーディオケーブルに、新幹線やスペースシャトルに使われる最新の技術と最高の素材を惜しげもなく投入していたにもかかわらず、「偶然」だと思われていたことは、小原にとって大きなショックでした。
この時、小原の技術者魂はさらに燃え上がっていったのです。
「わかりました。では、次はもっとすごいケーブルを作って『運』や『偶然』では無く、『技術の差』である事を明確に証明してみせましょう。」
そう堅く決意したのです。
◆ 素材と加工技術の限界の壁
実は、これまでのaetのケーブル開発の歩みは「素材と加工技術の進化」によってもたらされていました。そしてこの手法は、すでに一つの「壁」を 迎えていました。一般の人が数万円程度で手に出来るオーディオケーブルとしては、素材も加工技術も、ある意味「限界」を迎えていたのです。
今までと同じ方法では、そう簡単には「今まで以上にすごいケーブル」は開発出来ません。しかし、「さらに画期的な製品」を出さないと、「技術の差」を証明することはできません。
またしても小原は困っていました。
この時、小原は「人間が気持ちよく聞こえる音の特性」について研究していました。
いろいろ調査をしてみると、「人間が気持ちよく聞こえる音」「力強い音」「暖かみのある音」「すんだ空気のような音」、それらには「ある特性」がある事に気づいたのです。
◆ 突破口となった「独自の設計技術」の開発
そして、これは「素材」の問題ではなく、「設計」の問題で解決できる事が解りました。
この方法のテストを始め、HHシリーズ3の発売後たった1年程度で「新しい設計技術」を使った「HHシリーズ3.5」をリリースしたのです。
ここだけの話ですが、「HHシリーズ3」と「HHシリーズ3.5」では、電気的な特性はほとんど変わっていません。しかし、聞いてみると10倍以上よくなったように聞こえるのです。
それまでは、「良い音」と言うのは、聞く人それぞれが持つ「感性」でした。もちろん「数値化」できません。しかし、ここにある「独自の理論」を導入することにより、多くの人が「良い音だ」と感じる「設計技術」を開発できたのです。
「HHシリーズ3.5」のテーマである「技術と感性の融合」が実現した瞬間でした。
詳細な技術の内容は、現在でも使用している為ここでは詳しくは書けません。HHシリーズ3の「透明感」と「パワーやスピード感」が、よりいっそう鮮やかに感じられるのが「HHシリーズ3.5」の特徴と言えます。
◆ 「事実」と「実績」で業界の信頼を勝ち取った「HHシリーズ3.5」
この「HHシリーズ3.5」は、予想した以上に「高い評価」を得る事が出来ました。
耳の鋭い人から、こんな評価を受けた事があります。「今までのケーブルは、それぞれの音がバラバラに聞こえる。でもHHシリーズ3.5を使うと、音が整って聞こえる。」
また、念願通り日本全国の有名ショップで扱ってくれることになりました。「運」や「偶然」ではなく、「技術」だと言う事を認てもらえたのです。こ れは小原もうれしかったそうです。そして、「運」や「偶然」と言われていた同業者のネガティブキャンペーンも、この「事実」の前にはなりを潜めて行きまし た。
この技術は、現在でもHINシリーズを始め全ての製品に引き継がれています。是非、ご自身の耳と目で体感して頂きたいと願っています。
次回HHシリーズ最終話「業界に大激震! ついにaetに調査のメスが?」をお楽しみに