STORY 開発秘話
- ラインケーブル開発秘話2
- 前回の開発秘話ではラインケーブル全体について述べましたが、今回からは、もう少し突っ込んだ内容にしてゆこうかと思います。
早速の爆弾発言ですが、皆さんは「音の良いラインケーブル」って聞いたことありますか?
不遜な言い方で申し訳ありませんが、「弊社製品を使ったことの有る方以外は無い」と、言わせて下さい。もちろん、ここまで言い切るのですから、それなりの「理由」があります。
実は、私たちも世界中の製品を取り寄せ、解析しました。その結論は「似たり寄ったり」と言うレベルでした。
「構造や素材が似ているので、同じような特性にならざるを得ない」というのがその原因です。
そこで、従来の製品と違った視点でラインケーブルの開発を開始することにしました。もちろん「構造や素材を変えなければ、これまでと違ったラインケーブルは作れない。」と言う理由からです。
まず私たちが着目したのが「リボン導体」です。表面積が多く、インダクタンスが少ない構造で、一部のスピーカーや新幹線のモーターなどに使われている構造なのです。
様々な形状を試したのですが、思ったようなサウンドになりません。
何度もデータを取り、調整してゆくと、幅が3mm程度の楕円形状になりました。どちらかと言うと、「楕円単線」と呼べる形状で、バランスが整って来ました。
「これなら行ける!」
と、喜び勇んで関係者に聞いていただくと、
「悪くないけど、普通の音だよ」
「ガレージブランドのレベルだな」
と、思った評価は得られませんでした。超高級システムで鍛えられた方々の満足は、そう簡単には得られないことを思い知りました。
またもや開発のドツボにはまる毎日でした。開発陣の疲れもピークに達し、厭戦気分が蔓延する毎日でした。
そこで、思い切って他分野に活路を見出してみたのです。
リニアモーターカーを開発している技師に助言を求めたのです。
「リニアモーターは、コイルをばらして平たくしたもの。原点に戻って、丸くしてみれば?」
と言う助言を頂、開発したのが「MWT導体」だったのです(マルチワインドトルネード)
これは、AETの専売特許ともなりえた幾何学構造で、のちに世界を席巻する発明だったのです。
実は、それまでにも他にも「円筒構造」のケーブルはあり、マニアの間では珍重されていましたが、高い評価は得られていませんでした。
理由は、円筒構造のメリットを生かしていないからです。
筒の部分が厚くて、事実上「より線」になっていたり、絶縁材が低品質でメリットを相殺してしまったり、円筒構造のメリットを生かしていない、まだまだ素人の域のレベルの製品だったのです。
MWT導体は、コアの直径が1mm程度の細い形状です。この部分が損傷すると「壊滅的な音質の劣化」を招くおそれがあります。そこで、石英の繊維とフッ素樹脂の合成素材を使用する事により、その細さからは考えられないほど飛躍的に高い「強度と安定性」をもたらす事に成功しました。
その周りに0コンマ数ミリの導体を、隙間無く順番に巻きつけていきます(整列巻き)。
その上に、フッ素樹脂の絶縁材を、チューブ上に被覆して完成します。
従来巨大であった円筒導体を、精密加工技術と、進歩的な発想でコンパクトにまとめることに成功したのです。そして、実はここまでやらないと「円筒構造のもたらすメリット」は得られなかったのです。
MWT導体の開発は、次世代電線のさきがけとなる画期的な発明で、世界中から賛美の声が届けられたのは言うまでもありません。(開発陣一同、本当に苦労しました。苦労が報われた様で涙が出るほどうれしかったです。)
では、MWT導体は何が画期的なのでしょうか?
それは、相反する複数の要素を同時に満たすことに成功したからです。
力強さは「単線」、量感は「より線」、情報量は「円筒線」、官能性は「貴金属線」、等々、、、
それまでサウンドごとに分けてセッティングしていました。
これは現実的な対応だったのかもしれませんが、同時に「パワーを得る為に、繊細さをあきらめる」とか「官能性を増す為にパワーをあきらめる」という事を意味しています。
いずれにしても「すべての魅力を同時に表現できていない」と言う事実には変わりはありませんでした。
この意味で最初に「弊社製品を使ったことの有る方以外は、音の良いラインケーブルを経験した事が無い」と言わせていただきました。
しかしAETのMWT導体では、それらの別々の要素がたった一つの線で満たされてしまったのです!
強固な機械的強度が単線の力強さを、大きな断面積がより線の量感を、大きな表面積が円筒線の情報量を、服層導体が貴金属線の官能性を、そして極度に少ないインダクタンスが圧倒的なレンジ、スピード感を実現したのです。
この世界を震撼させたMWT導体は、当たり前の科学をコツコツ積み重ねる事によって開発されました。
ぜひ、AETのMWT導体を使ったラインケーブルをお試しいただきたいと節に願っています。あなた自身がこれまで気づかなかった「あなた自身の新しい世界」を表現できると信じています。