STORY 開発秘話
- 開発秘話番外編 プラグ開発奮闘編 1
- 大変好評の開発秘話ですが、今回はライン/デジタルケーブルに不可欠なプラグの開発秘話をお届けします。
◆ プラグは「おまけ」ではなく重要なパーツです。
ラインケーブルのプラグと言うと、ケーブルの「おまけ」程度の感覚が普通だと思います。
秋葉原には、金ぴかの中国製プラグが数百円で売っています。
最高の品質が私たちのお約束ですから、以前はドイツ製の高級プラグを採用していました。
それはデザインも音質も素晴らしいものでしたが、生産国が台湾になり、輸入も不安定になったことから、戦いは始まりました。
早速開発を始めたのは良いのですが、かなり難しい事が解りました。
プラグは電気が通るので、導電性の高い素材が良いのですが、導電性の高い素材は強度が低いのです。
ガレージブランドなどでは、導体を無酸素銅や銀合金で作っているところもありますが、強度が無いので、スポスポ抜けてしまったり、数回抜き差しすると壊れてしまいます。
何万円もするプラグが、数回の抜き差しで壊れてしまってはいけません。
◆ 「導電性を保ちつつ、高い強度の実現」を求めて
現実は、またもや困難な要求を突きつけてきたのです。
困難の末、思いついたのは「異種素材」の採用です。
最も導電性の要求されるホットピンには、導電性の高い素材を、強度が重視されるブランケット部には、強度の高い素材を使うのです。
「そんなことをしたら、マイナス側の電気が流れないじゃん!」
頭の良い方は、この様にご指摘をされるかもしれません。
ブランケット部は、ホットピンに対して、数倍の表面積、断面積があるので、たとえ導電性が半分でも十分なマージンが取れるのです。
そんな新しい発想で、開発された次世代RCAプラグがUCPシリーズです(2006年に販売完了)
大型のホットピンは、中心に穴を開けた「中空構造」は、ハイエンドブランドでは始めての試みでした。
ブランケット部は、大口径の丸棒を多軸CNCマシンで切削をする「偏芯切削加工」を施し、世界中の技術者を驚かせました。
◆ 表面処理にも新しい試みが行われました。
従来のプラグは、色だけ金色の金色めっきでしたが、99%以上貴金属の、高含有貴金属コーティングを採用しました。
これは、一部の軍用品や宇宙規格品に使われる大変高価な処理で、価格も大変高価なものです。
しかし、導電性の優れた貴金属をコーティングすることで、導電性も信頼性も飛躍的に向上したのです。
さらに画期的な処理がもう一つあります。
大手の金属メーカーや通信会社と共同で開発をした「DCT」処理を施したのです。
これは、金属の物性を改善する特殊な熱処理の工法です。
金属は加工をすると、加工硬化というストレス状態になります。
この状態では導電性が低下してしまいます(分子間の摩擦が増えるからです)
そのため、焼きなまし処理(アニール処理)を施しますが、銅合金に焼きなましを施すと、強度が下がってしまうのです。
せっかくのプラグが壊れてしまっては、お話になりません。
DCT処理は液体窒素を使った、極低温処理ですが、強度は保ちつつ、導電性などの諸特性を改善できる画期的な工法です。
◆ 世界的な楽器メーカーの「オールパーツ社」で全面的に採用
DCT処理の需要は、オーディオ製品にとどまらず、楽器分野でも大変好評で、世界的な楽器メーカーの「オールパーツ社」にも全面的に採用されています。
一見、何の変哲も無いRACプラグですが、大変な困難と高度な技術力が要求されることがお解りになると思います。
しかし、2007年、私たちは更に大きな一歩を踏み出します。
それは、UCPシリーズを凌駕する、至上最強のRCAプラグの開発です。
異種素材複合テクノロジーと高度な3次元金型技術、洗練されたデザイン。
全ての要素を結集した最強のRCAプラグの開発に成功したのです。
世界に誇るAET社の先端技術を、あますところ無くつぎ込んだ、究極最強のRCAプラグが完成したのです。