COMMENT モニターの声
- プロミュージシャンの方からのギターシールドモニターレポート
- プロミュージシャン ベーシストの阿部様よりギターシールドのモニターレポートをいただきましたので紹介させていただきます。
阿部様、本当にありがとうございます。
阿部 達司 様 プロフィール
1958年北海道生まれ
中学よりギターを始める。大学でエレキベースにスイッチ。新人歌手のバックバンド等を経て1988年よりヤマハポピュラーミュージックスクール講師。自身のバンド D.T.III でも作詞・作曲・ボーカル・ベーシストとして活動中。
1:AET HCR LINE TWIN と他社ケーブルの比較レポート
D社のケーブルは200Hz周辺の中音域が強調されたサウンドで、全体的にレンジが狭く、各周波数別にチェックしても音が森の中を無理に通過して出て来たと例えられる印象である。これに比べM社のケーブルは2kHz周辺の高音の伸びが良い分、音像全体の明るさが増加する。音圧も1.5倍増の印象である。また200Hz周辺のブーミーな帯域が多少改善している。したがって前記の2つの特性により、相対的に低音部の倍音が不足し、深みに欠ける音になって聞こえる。
これに対してAETケーブルにおいてはブーストされた周波数帯が少なく、明らかに全域に渡りワイドレンジ化されているのがわかる。M社のケーブルより中域(200?400Hz)のブーミーさが解消されている分、ダブルストップなどのコード奏法時の各音の分離が良い。また、2kHz周辺の耳障りな高音域も少なく整った高音成分が得られるため、左手で弦を移動させた時の音やスクラッチノイズでさえも心地よく聞こえる。
さらに、低音部においても倍音成分が豊かで表現力もある。音圧はM社の1.2倍程度に増加する。
しかし音圧は十分であるが、周波数的特異点が少ないのでアンサンブルの中で自己主張する(いわゆる抜けの良い)音が得られずに埋もれてしまう可能性もあると言えよう。この対策としては使用者の好みに於いて、ある特定周波数を持ち上げることが必要であると思われる。
通電時間が一時間弱と短いので、この後AETケーブルの音色がどのように変化するかの追跡チェックの必要性は残るところである。
使用機材:ベース : ケンスミス5弦ハムバッキング
アンプ : ヤマハSR160B 115
2:ベースアンプをSWR LA 15に換えての比較
M社のケーブルに於いては、弦から手を離した時のノイズに関して前項のヤマハアンプに比べ格段に少ないことに気付く。ただし屋外に近い環境であるためか、ノイズの量が変化することもわかる。これは外来電波の量的変化に由来するものと思われる。
AETケーブルに換えてみると、M社のケーブルと比較してノイズが大きく聞こえる。これは聴感上の音圧が増加しているため、単純にノイズも増幅された結果であろう。聴感上の音圧(音量)をM社のケーブルと同等に下げて聞くとノイズ量はそれと比較して下がって聞こえることとなる。しかし、周波数帯全域に倍音成分が増加し、ワイドレンジに再生されるため同様の効果がノイズにも波及している。したがってノイズ自体の音色も輪郭のはっきりしたものとなるため、ノイズも多少耳障りな印象となる。
以上の事実は楽器本体から手を離した時のものであるが、通常演奏中にはありえないシチュエーションである事も付記しておく。
次に実音での比較であるが、M社のケーブルよりも低周波数帯域がワイドレンジ化され、歪みの少なさが顕著である。
しかし高周波数帯域においては、今回使用しているアンプがツィーターを搭載しているため、非常に高音部の再生能率が高いことにより、前項のアンプよりも劇的に変化しているとは言いがたい。ただし、低周波数帯域と同様に高周波数帯域でも歪み成分が解消され、ワイドレンジ化されていることは認められる。
総括的な印象は、やはり前項のアンプ使用時と同様に全周波数帯域で透明感が増し、歪みがほとんど感じられず、M社のような無理に作られた音のような感じがしない。
AETケーブルは圧縮解凍されたような冷たい音ではなく、倍音成分豊かな生々しい音をエネルギッシュに再生してくれる。言うなれば一般のケーブルが高級ステレオで再生したオーケストラの音に例えるなら、AETケーブルは演奏会場で聞くオーケストラの音である。
3:エフェクターや他ケーブルとのマッチング
歪み系のエフェクターの後段にM社のケーブルを使い、前段をM社とAETのケーブルで比較してみる。
特筆すべき点はエフェクトをかけないまま前段をM社のケーブルからAETケーブルに換装しただけで、1項や2項で述べたような効果が顕著に現れる、と言う点である。後段にM社のケーブルを使用してはいるが、この影響は少なくAETケーブルを直結した時ほど劇的ではないにせよ、明らかに再生音がワイドレンジ化するのである。
ただし、どのような原因に因ることかは定かではないが、音圧が多少落ちて聞こえる。これは後段のケーブルとのマッチングの問題であろうか。それともAETケーブルでは周波数分布が整理されて、特異点が減るために聴感上そのように感じるものであるか。いずれにせよ音量を調節することにより簡単に解決できる問題であるが。
次に歪み系のエフェクトをかけて比較してみる。
歪み音の主たる周波数帯域は中音域(400Hz?1kHz)であるが、この帯域に於ける音色の変化は少ない。一方、低域側と高域側ではレンジの拡大が認められ、その変化量は生音時と比較してさらに大きく感じられる。いわゆる「抜けの良い」再生音が得られる。特に原音と歪み音をミックス可能なエフェクターの場合、この効果は倍増する。これはAETケーブルにより増加した倍音成分が、エフェクトによりさらに強調されるためであると推測できる。
さらに前述の生音での音圧が少々落ちた状態からエフェクトをかけてみると、音圧が非常に上がる事も確認された。この事実はAETケーブルが特にエフェクトのりの良いケーブルであることの証左であろう。
コーラス・フランジャー系のエフェクターではどうであろうか。エフェクターの前段・後段ともにM社のケーブルとAETケーブルを使用して比較してみる。
M社のケーブルでは400Hz周辺が持ち上がって、ややうるさい印象の音質になる。また、相対的に100Hz?200Hz低音域は減少して聞こえる。エフェクトの波の周期により4kHz周辺域も周期的に強調される。
一方AETケーブルでは、高域は整理され澄明感が増加する。また、400Hz周辺のブーミーさは解消され耳障りな成分は減少し、全周波数帯域で聞きやすい再生音となる。
しかし、M社で持ち上げられていた400Hz周辺は整理・解消されるとともに100Hz 200Hz辺りの低音成分も同時に減少して聞こえる。この事実はエレキベースにとって致命的な事態で、コーラスエフェクトをかけた時はアンサンブルの中でのベースの存在価値が半減することを意味する。特にコーラス系のエフェクターにはON/OFF時のゲインバランスを調整する機能を持つ物が少なく、使用時に留意すべき点と言えよう。ただし、この点は楽器がベースである時の問題点であって、ギターの場合では影響は少ないと予測される。
使用機材:ベース : ケンスミス
アンプ : SWR LA 15
ディストーション : Depth Charge(P.E.社)
コーラス : Chorus+Flanger(t.c.erectonic社)
4:シングルコイルピックアップギター使用時の比較
C社のケーブルと、AETケーブルとをクリーンと歪み音の両方で比較してみる。
はじめにクリーントーンに於いてであるが、AETケーブルはC社のケーブルに比べ音圧が聴感上1.2倍程度に上昇する。中低域の充実が顕著で、なおかつ分離が良くなる。和音が各弦きれいに混ざっているのが感じられる。一方C社では中低域に於いて和音の分離が悪く、一塊になって再生される。さらに、その塊が歪みかけている事にも気が付く。AETケーブルでは全域に渡りエネルギッシュで、音の粒が緻密でバランスが良くクリアに聞こえて来る。さらに分解能力が高く、あたかも各弦を別々のスピーカーから再生しているような印象を受ける。
次にアンプで歪ませてみる。C社では全域でボケた印象で、中域だけが歪んで聞こえる。一方、AETケーブルでは高域・低域ともに音域が拡張され、迫力が増した印象である。その違いの様は「まるで質の良いハムバッカーに換装したごとく」である。ただし、音圧が上昇するためノイズ成分も同様に増加して聞こえるのは残念なところである。
使用機材:アンプ : ヤマハ SR50 112
ギター : Fender U.S.A. ストラトキャスター
2007.7.15 阿部 達司 記
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